
Wisora導入事例
株式会社チカク
翌営業日の返信を平均約4秒に。LINE×AIで人に寄り添う24時間サポート
代表取締役
「導入にあたり、決めたのは『AIに任せる範囲』ではなく、『人が出るべき瞬間』でした。お客様が『人と話したい』と言ったタイミングでAIボットから人にバトンタッチして人が対応する。この線引きを何より重視しています」
Wisora活用のポイント
LINE公式アカウントで、
お客様の知りたい内容に応じた回答を出し分け。
カスタマーサポートのメンバーだけで構築
AIボットの一次対応カバレッジは約9割、
平均応答速度は約4秒。
夜間・休日を含む24時間対応を確立
「人が出るべき瞬間」を定義。
切り替えのタイミングをお客様自身が選び、
複雑な相談は人へ引き継ぎ
導入の背景
お客様からのお問い合わせに、
タイムラグなく寄り添いたい
株式会社チカクは、「見守りよりも、やさしい選択。」をコンセプトに、離れて暮らす親の生活リズムを把握できる見守りサービス「ちかく」を提供しています。テレビに小型デバイスを設置するだけで、親の生活の様子が子のスマートフォンに届き、離れていても近くにいる感覚でいられる「デジタル同居」を実現するプロダクトです。
サービスの特性上、検討・購入するのは50〜60代の子世代、実際に日々使うのは80〜90代の親世代という構造があります。そのため子世代との日常的なコミュニケーション接点は、彼らが毎日使う「LINE」が中心でした。
LINEは、ウェブサイトなどと比較すると、問い合わせの心理的なハードルが低く、気軽に相談や質問が寄せられます。これまでは、そのすべてを人が手動で対応していました。内容も多岐に渡り、製品の使い方や料金の確認にとどまらず、「親の一人暮らしへの不安」「遠距離の親への後ろめたさ」といった、感情的で複雑な事情を抱えた相談が多く寄せられていたといいます。
「限られたスタッフ人数で、どう対応をしていくかが大きな課題でした。全件を手動対応しているがゆえに、対応品質にもばらつきが出ます。しかも人が対応する以上、営業時間外や休日は返信ができません。お客様のご相談や不安は時間を選びませんから、大きなジレンマを抱えていました」と株式会社チカク 代表取締役の梶原 健司 氏は振り返ります。
現場では切実な事態も起きていました。LINEの返信が翌日になるだけで、お客様が検討そのものをやめてしまうケースがあったのです。
「夜中に不安な気持ちで送られた問い合わせに、翌朝返信する。その間ずっと、その方は不安なままです。これではお客様に寄り添えていない、と感じていました」(梶原氏)
お客様の心配や不安に、タイムラグなく本当の意味で寄り添えないか。それが、24時間365日の即時対応を可能にするAIチャットボット導入への強いきっかけとなりました。
導入の結果
「小さく始めて検証」で不安を越え、
応答速度は平均約4秒へ
導入にあたり最大の壁となったのは、チカク自身が抱いていた「AIへの不安」でした。感情的な悩みを抱えて相談してくるお客様に対し、AIが的外れな回答をすればブランドが傷つくのではないか、という懸念です。
不安を解いたのは、「小さく始めて検証できるステップ」でした。すべてを一度にAIへ任せるのではなく、少しずつテストしながらお客様の反応を見て精度を高められたこと。加えて、Wisoraチームによるサポートがあり、導入して終わりではなく継続的に相談できる関係を築けたことも心強かったといいます。
構築はエンジニアの手を一切借りず、カスタマーサポートの担当メンバーだけで進められました。Wisoraはファイルやウェブの情報を読み込ませるだけでAIを学習させることができ、回答スタイルも日本語で教育できます。作成したボットはそのままLINE公式アカウントに組み込みました。
LINE公式アカウント連携サービス「Lステップ」(*)を利用することで、同じ質問でもお客様のステータスに応じて回答を出し分ける仕組みを実現。「初めての方」にはサービスの全体像を、「資料請求済みの方」には具体的な導入ステップを案内し、「検討度が高まった方」は自然なタイミングで人のスタッフへ引き継ぐよう設計しました。
運用を続けるなかでチカクが確信したのは、AIと人の役割分担の本質です。Wisoraは料金体系・使い方・対応機種といった「よくある質問」への即時回答を担い、人は感情的な相談や複雑な事情を抱えたお客様への対応を担います。重要なのは、AIが機械的に振り分けるのではなく、切り替えのタイミングをお客様自身が選べるようにした点です。お客様が「人による対応希望」のアクションを起こした瞬間に、人の直接対応へ切り替わります。
成果は数字にも表れました。以前は平均して翌営業日だった応答速度が、平均約4秒に短縮。現在は約8割の問い合わせに3〜5秒以内で回答し、LINE経由の問い合わせに対するWisoraの一次対応カバレッジは約9割に達しています。そして夜間・休日を含む24時間365日の即時回答体制が構築されました。
営業時間の枠を超えたからこそ生まれた、印象的なエピソードもあります。
「ある晩、深夜1時から3時半まで、お客様がWisoraと一緒にセットアップと全機能の確認を完走されました。チャットの履歴に残っていた最後のお客様の言葉は『ありがとう。おやすみ』。人間のサポートでは決して成立しない時間帯の伴走でした」(梶原氏)

スタッフの働き方と意識も根本的に変わりました。全件を手動対応して疲弊するのではなく、「この方には直接電話した方がいい」と個別事情に配慮する精神的な余裕が生まれたのです。日々の回答ログを確認することで、お客様が何に不安を感じているのかも可視化されるようになりました。
「『AIに仕事を奪われるのでは』という不安は、まったくの杞憂でした。むしろ人が『より人らしい仕事』に集中できるようになり、本質的な顧客体験の向上につながっています」(梶原氏)
(*) Lステップは、ソーシャルデータバンク株式会社が提供するLINE公式アカウントの機能を拡張するマーケティングツールです。https://linestep.jp/lp/01/
今後の展開
完璧なAIを待つ必要はない。
成功パターンを横展開
チカクは、1つのチャネルで作った成功パターンを横展開していく計画です。当初はLINEの1アカウントから始めましたが、現在は複数のLINEアカウントへ展開を広げています。
さらに現在進行中のプロジェクトとして、カスタマーサポートツール「Zendesk」との連携を進め、チケット管理とボット対応の一体化を予定。次の段階では自社LP(ランディングページ)上でのチャット対応や、メール経由の問い合わせへのWisora適用も見据えています。成功パターンを容易に横展開できることこそ、プラットフォームとしてのWisoraの価値だといいます。
「完璧なAIを待つ必要はありません。今のAIと今のスタッフで、お客様に向き合う体制は作れます。決めるべきは『何をAIに任せるか』ではなく『どこで人が出るか』。小さく始めて、お客様の反応を見ながら育てていくことです」(梶原氏)
AIは「育てるもの」。チカクもチャットログを毎日確認し、回答の正確性を改善するサイクルを回し続けています。
「その未知の歩みに伴走してくれるパートナーがいたことが、当社にとって何より心強いことでした。これからも『デジタル同居』という価値を通じて、AIと人が紡ぐ最良のサポート体制を追求していきたい」と梶原氏は締めくくりました。
